2015年03月02日

2015年1月18日 DSN座談会 【同志社ラグビーを振り返る A】

DSN座談会 【同志社ラグビーを振り返る @】 はこちら

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司会 「 ボールを大きく展開して、振り回すことで相手のディフェンスを薄くし、大きな穴を作るのが今のシステムだと理解していますが、今年はライン・ブレイクが少なく、ブレイクしてもなかなかトライにつながらなかったというお話です。
システムはライン・ブレイクする確率を上げ、トライを増やすためにあるものなので、要するにそのシステムがうまく機能しなかったということですね。 確かに目指す形で取ったトライは少なかったように思います。 」

  「 アタック・ラインが端から端まで広がっていますから、ライン・ブレイクしてもラックになるとポイント(*ポイント=ラックの地点)までの距離がありますね。ボールキャリアーが捕まった後、立って我慢するか、足をかいて押し込まないと、後続のフォローが遅れてしまいます。 やって楽しい、見て楽しいのは展開ラグビーだということで、ここ数年の同志社は展開ラグビーで来ましたが、やはりチームの状況に合う合わないはあると思いますし、対戦相手とのかね合いもあると思います。昨年は展開ラグビーに縛られすぎているようにも感じました。 」

司会 「 Bさんが最初に仰った 『 システム自体は悪くない 』 は私もその通りだと思います。 ただ、今のお話はシステム自体が悪くなくても、果たしてそれが今いる選手の能力を最大限に活かせているのか、つまりトライの確率を上げるベストの選択肢なのかというお話でしょうか。 」

  「 大学選手権のセカンドステージでは一昨年は1勝で、昨年も1勝でした。 一昨年の1勝は日大相手にお祭り的快勝で同志社のポテンシャルを感じさせましたが、昨年の立命戦はまさに死闘でした。 いずれにしても先程、Cさんが目標設定のお話で指摘されたように、 『 大学日本一 』 と言っても現実はセカンドステージ1勝のチームなわけです。 1勝のチームと2勝のチームでは相当な差があります。 また、2勝と3勝でも、これまた相当な差がありそうです。 さらにそこから決勝に残るチームにも差があり、優勝する帝京はもっと上の力があるわけです。 」

全員 「 爆発的な差がありますね。(笑) 」

  「 昔だったらまずは国立に出続けて、いずれメンバーが揃った時に優勝できるだろう的な感覚だったのだろうと思いますが、今はまずセカンドステージで2勝できるチームにならなければなりません。 昨年のチームで言うなら、FWが強かった。それならば、セットプレーからの強みを活かしてトライを取る戦術に磨きをかけてほしかったですね。 大学選手権で2勝するためには、スクラムやラインアウトのセットプレーからの得点力に磨きをかけるのは必須だと思います。
でも、実際には選手権直前に経験の浅い選手をスロワーに起用したりしましたので、セットプレーよりも展開力を重視しているのかな・・・と。選手権優勝を目指すのなら、まずセットプレーが強く、そこから確実にトライを取れることが必須ではないかと思います。 」

司会 「 つまり、チームの強みがFWだったら、まずその強みを活かすのが勝率を上げる近道ではないかということですね。 確かに昨年は 『 うちの強みはFW 』 と言う割には、ゴール前でFWを前面に押し出した攻撃が少なく 『 ? 』 と思うことがありました。
セットプレーで言えば、スクラムはどうだったでしょうか。 」

  「 スクラムの強さの話とは少し違いますが、スクラムワークがレフェリングとかみ合わないシーンが多く、そこは気になりました。 以前、ある監督さんと話をさせていただいた際、 『 レフェリーとチーム関係者が事前に確認し合う場がある 』 と教えていただきましたので、レフェリーとスクラムワークの擦り合わせができているのか、レフェリングを味方に付けているのかという疑問を覚えました。 一昨年もそうでしたが、スクラムが生命線な割にはレフェリングに戸惑うことが多いように思います。 」

  「 確かに選手がレフェリングに 『 えっ? 』 という顔をする場面が多くて、私も気になりました。 真継さん(A1レフェリー)や四辻さん(A2レフェリー)などのOBレフェリーもおられます。 その方々との情報交換は当然されていると思うのですが、解釈が微妙なスクラムワークについては特に、選手権対応の細かい調整や指導を是非してほしいですね。 」

  「 そういうことは関東の上位チームなら常識的にしてそうですね。 勝つためにはレフェリングへの対応は重要でしょう。 」

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司会 「 今のお話で思いましたが、ここのところ部員数が大幅に増えている割りにはコーチの陣容に変化が見られません。 コーチ陣の負担増が想像されるのですが、この辺りの影響についてはどう思いますか。 」

  「 最初に言いましたが、攻防ともに押し込まないのがゲームを見ていて違和感を感じます。そこのポイントまで行っているのにズルズル下がる。 もっと押し込んでいたら局面がまったく変わったはずなのに・・・。 押せないのかと言えばそうではなくて、押せる体力はあるのに押さない、ダイナミックさがない。 その原因がスタミナ配分なのか、選手の判断力不足なのかは分かりません。 いずれにしても、そういう根本的なところの積み重ねが弱いように思います。
チーム全体を見た時に、できている部分と抜けている部分の 凸凹 、アンバランスさを感じますので、もしかすると陣容的にコーチングの限界を超えているのかも知れません。 1年を通して面倒を見てくれる。そして、指導の結果にこだわる。 そんなプロ的で優秀な専任コーチの必要性は感じます。 」

司会 「 専任コーチと言えば、DSN発足以降では中尾さんと鬼束さんです。 中尾監督は基礎練習やブレイクダウン強化に取り組まれ、鬼束コーチは宮本監督の初年度、 『 やって楽しい、見て楽しい 』 走るラグビーの構築に貢献されました。 ブレイクダウンと走力。秩父宮の帝京戦では 『 あわや 』 の結果を残しましたが、確かに専任コーチの存在は大きいと言えそうですね。 」

  「 中尾さんの時代、後半期は特にブレイクダウンばかり練習していましたね。 宮本さんがそこにボールゲームの型を持ち込まれて、それを鬼束さんが専任で形にされました。 今の同志社はボール争奪の激しさよりも、システムの練習に比重が置かれているのかも知れません。 」

  「 ブレイクダウンで言えば、高校では京都成章がブレイクダウンだけで勝っているような印象があります。 以前の御所実業もそうでした。 結局は突破口になるのはブレイクダウンの激しさやセットの強さなのだと思います。 帝京も最初は面白味に欠ける堅いラグビーをしていました。 ところが、今では高い総合力のラグビーをしています。 勝つようになれば幅広いラグビーもできるようになるわけで、いま強いと言われるチームは段階を踏んで強くなってきたように思います。 」

司会 「 鬼束さんのコーチングはどうだったんでしょう。 どなたかご存知ですか。 」

  「  『 鬼束さん、どういう指導をやっておられるんですか 』 という質問に、 『 きっちりとやり切らせることです。 些細なことだけれども、ダッシュする時に 【 ここまで 】 と決めたなら、ゴール手前で力を抜いたりしないようきっちりやらせる、やり切らせるんです。 そんな難しいことを私はやっていません 』 と仰っていました。 ご謙遜はあるとは思いますが、それが鬼束さんのコーチングの原点のようなお話でした。 彼はそういうことを許さない、ただ怒鳴ったりするのではなく結果として許さない、妥協しないコーチで、そういうコーチは必要なんでしょうね。 」

司会 「 学生のチームには特に重要なことかもしれませんね。 最近、時々関東の学生のインタビュー記事で目にするんですが、 『 規律 』 という言葉が使われています。 岩村君も確か近大戦だったかな、アトムのインタビューで 『 規律 』 という言葉を使っていました。 彼らがどういう意味で使っているのか分かりませんが、 『 やり切る 』 と 『 規律 』 は似ているのかも知れませんね。 Dさんは先ほどアトムのインタビューから選手の判断力、ゲーム中の臨機応変な対応力を指摘されましたが、他に昨年のチームについて感じられたことがありますか。 」

  「 試合後の主将のコメントが 『 通用したところもあった、でも修正すべきところもあった、次に向けて修正したい 』 という具合で、それって外で見ていたコーチのコメントじゃないの?と思うことがありました。 さっきまで敵に体をぶつけていた当事者、まだアドレナリンが吹き出しているだろう当事者にしては、淡々とした印象だなあと・・・。 」

司会 「 『 アドレナリン 』 と 『 淡々 』 ですか。 Bさんの 『 ダイナミックさ 』 のお話にもつながりそうですね」

  「 もちろん、選手にしてみたら、インタビューに対して言えることと言えないことがあると思います。
でももっと、外で見ていた者には分からない肌で感じたもの、相手と決定的な 『 差 』 として実感したものとかあるだろうにと思いました。 」

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司会 「 確かにインタビューの印象は 『 勝っても負けても想定内 』 みたいな感じで、 『 妙に冷静だなあ 』 と思いました。 『 相手が想定外のことをして来た 』 とあるんですが、本当なら大変なことなのにどこか余裕を漂わせている感じがしました。
少し話題を変えて、大学選手権や他校に目を向けてみましょうか。 大学選手権で後半圧倒された東海、善戦した早稲田、2年連続ベスト4に残った慶應ですね。 ちなみに春の対戦で同志社は慶應に勝っています。
先ほどのAさんのお話ではこの辺りが大学選手権2勝、3勝のチームになります。 私は関東リーグを見た感じでは東海のブレイクダウンがあそこまで強いと思っていなくて、同志社戦では少し驚きました。 今から思うと、同志社のやりたいラグビーの完成形に近いのが東海じゃないかと思っています。 同志社を含めて大学選手権はどう見ましたか。 」

  「 ディフェンスに限って言えば、同志社はこれまでFWが立って広がるスピードが遅かったんですが、大学選手権に入ってからは速くなりました。 速く立って広がっていたと思います。 数年前、帝京に善戦した時でも遅い印象がありましたが、今年は一番速かったんじゃないでしょうか。 東海戦も速かったが、早稲田戦は更に速かったように思います。 『 ディフェンスラインに穴ができないなあ 』 と感心しながら見ていました。 最初の段階で前に出ないのは課題ですが、立つことに限れば速かったと思います。 」

  「 同志社は前に出るディフェンスを採用していますね。 そもそも、これについてはどうでしょうか 。」

  「 少し前の同志社がやっていたのはあまり前に出ないディフェンスでした。 走ってくるボールキャリアーをシステムでダブルタックルして、立ってすぐに広がるんですけど、そこで面を崩さず(*ディフェンスラインを 凸凹 にすると破られる危険が増すので横一線を保つ)、横の動きを意識した対応をします。 ただ、その動きは複雑で、大学生ではなかなかそこまでのスキルがありません。
また、ディフェンスが前に出てプレッシャーを掛けると、大学レベルでは攻撃側がミスをしてくれます。 おそらく、それが前に出るディフェンスを採用する一番の理由で、その目的は前で相手を包み込んで、前進させないことだと思います。
ただ、確かに前に出ると相手側がミスしやすいのですが、そこでうまく対応されて大きくゲインを許す危険性をはらんでいるのもこのスタイルの特徴ですね。 シャロー・ディフェンスでは前に出た後ろにかならず空間ができます。 その空間に相手がうまくボールを持ち込むと、一気にトライまで行くチャンスが生まれるわけです。 ですから、このシステムのチームは2線防御に備えて、SHや3列が必死にその空間を埋めに入ります。
シャロー・ディフェンスに対しては攻撃側が深いアタックラインを引いて、ディフェンス側と距離を取ることが多いです。 ディフェンスはきちんと面を保って前に出るのが理想なんですが、その距離が長いと面を保つのが難しくなりがちです。 そこのほころびを1対1の個人技で抜くのが、深いアタックラインを敷く目的ですね。個人技で抜けられた後、つないでスコーンとトライされるパターンですね。 」
(*シャロー・ディフェンス=ディフェンスラインを早く上げるディフェンス。
http://www.suntory.co.jp/culture-sports/sungoliath/clubhouse/2014/jiten_152.html

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  「 そういえば、早稲田はアタックラインが深いですね。 」

  「 昨年の早明戦では早稲田は深いアタックラインを敷いていました。 第1CTBの小倉君がスワーブで半ズレの状態を作り、そこをFB藤田君がスピードで抜くのが面白いように決まっていました。
ただ、この形を大学選手権ではなく対抗戦の明治相手に出したところに、昨年の早稲田の限界を私は感じました。 対抗戦で出さざるを得なかったというところなので、そこまでの力しかなかったんだろうと思います。 早稲田は優秀な個人技のラグビーです。今年(*2015年度)は2人のうち1人(*小倉選手は卒業)がいませんし、FWが弱体化しそうですからさらにしんどくなりそうですね。 」

  「 なるほど。本当なら 『 とっておき 』 は選手権に入ってから出すはずで、それを選手権前に出さざるを得なかった早稲田の辛さということですね。 他のチームはどうだったでしょうか。 」

  「 同志社以外のチームのことを言えば、早稲田は優秀な個人技を集めて、たとえば早明戦であれば仮想明治をチーム内に作り、そのチームを相手にタイミングを測って徹底的に準備するんですね。
慶應はもともと一番外で抜くようなサインプレーを準備して、 『 こう動く 』というのを完全に決めているんです。 ギリギリ抜けるか抜けないかのところで抜けた時はOK、抜けなかったらそこに駆けつけてラックを組む。 彼らはその準備をしっかりやっていて、試合中はそればかりで何とか得点する感じです。 慶応はサインプレーの集合体のような気がしますね。 同志社は決め事が多い割にはただ広がっている印象で、慶應のようにギリギリのタイミングで勝負するのはあまりないような気がします。 」

  「 対抗戦のチームって仮想敵がはっきりしていて、その相手とどう戦うか、積み上げてきたものの精度が年々上がって行くような印象がありますが、同志社の場合は 『 今年の敵 』 がはっきりしないという関西特有の事情があってか、その年その年でやることが定まらないイメージがあります。
昨年の場合は初戦の天理を 『 敵 』 とイメージした意気込みが伝わってきましたが、それ以後はあまり見えてきませんでした。絶 対に倒すべき仮想敵があるかないか。それはチーム力を向上させるためには大事なものかも知れませんね。 」

  「 強い時は同志社もそんな雰囲気を持っていたと思います。 思い出すのは中村主将の国立準決勝、関東学院戦のときの試合の序盤です。 『 どうやってグラウンド中盤の陣地(*エリア)を取るんだろう 』 と見てたんですが、第1CTB(今森選手)のキックを使っていたのでオーと思いました。 SO(君島選手)からのキックだと相手WTBに読まれ、キックやランで陣地を取り返されては意味がありません。 そこで同志社は君島君から今森君にパス、すると相手のWTBはBK展開攻撃に備えて前に出ますから、その瞬間に今森君がキックをしてことごとく陣地を取っていました。 その後のラインアウトであまりチャンスにできませんでしたが、陣地的にはかなり取っていたと思います。
『 ああ、よく考えているなあ。同志社はやはり伝統校だなあ 』 と感心しました。 『 仮想敵 』 関東学院に対して、しっかり準備してきたんですね。 今のゲームでは 『 選手自身がよく考えている 』 と感心するプレーをあまり見かけなくなりました。 先ほど永富君の名前が出ましたが、大越君と永冨君でしっかり話し合ってくれたら良いと思いますね。 学生たちには勝つために考えて、どんどん話し合ってほしいです。 」

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司会 「 昨年の同志社のゲームに対しては、皆さん一様に今ひとつ魅力を感じなかったようです。 魅力の感じ方は人それぞれだと思います。 ただ、こうして話してみると 『 DSNの見方 』 と言えそうなものがあるような気がしますね。
最後にお一人づつ仰りたいことはありますか。 私は今年のチームを見ていて、 『 勝ちたい 』 チームよりも負けるのが絶対に嫌な、そのためにはどうすれば良いのかを考える 『 負けたくない 』 チームになってほしいと思いました。 」

  「 必死で勝とうとするラグビーをしてほしいと思います。 今が必死ではないというつもりはないんです。 言葉は悪いですが、ラフプレーをしてでも勝ちたいとか、どうしても勝ちたいという気持ちが強く出たラグビーをしてほしいですね。 」

  「 もちろん、ラフプレーは駄目ですけどね。(笑) でも、それくらいの気持ちはほしいですね 。」

  「 コーチが教えることは必要条件であって十分条件ではありません 。今いるメンバーならどんなラグビーができるのか。 プロの目からみたら未熟だとしても、それが自分たちで話し合って考えた末の結論なら、 『 オレらはこれで行くねん! 』 と思い切りグラウンドで表現してほしいと思います。 応援したくなるのはそんなチームですね。 」

  「 そうですね。学生の強い意志や気持ちが見えてこないラグビーは、本来の同志社ラグビーから離れているように感じています。 観客は見ていて楽しいのか、選手はやっていて本当に楽しいのか。 同志社ラグビーの魅力について、一度考え直してみたいと思っています。 」

  「 同志社では学生達は持ち駒の一つではないはずです。 その年の 『 同志社ラグビー 』 のために選手達がいるのではなく、選手達自身が 『 自分達の今年の同志社ラグビー 』 を形作って行くのだと思います。 今年の4年生を中心にして、考え抜いた必死のラグビーを見せていただけたら私は満足です。 」

司会 「 こうやって改めてお聴きすると、 『 学生の考え方や気持ちが見えるラグビーを 』 の思いが私たちには共通して強いようです。 ラグビーから学生の顔が見えにくくなったことが背景にありそうですが、DSNでは、これまで自分達の主張や意見を控え、できるだけ無色透明の情報提供者に徹してきました。 今回、初めて議論の一般公開を試みるにあたって、この辺りの思いが最初のDSNカラーと言えるものなのかもしれませんね。 」

それでは、ひとまず昨年の同志社ラグビーの話は終了して、次にDSNのこれまでとこれからに移りたいと思います。

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